Kyoto Brewing Co. - Wholesale
黙ってそれをやるだけさ (I did my duty)
豪州のHazy IPAマスターと造る、超絶ホッピーでフルボディの東海岸IPA
そして、2025年に再びこの海を越えた日豪交流イベントを行うことになり、今度はヘイジーIPAでよく知られるMountain Cultureとペアが組むことになりました。そんなワクワクも束の間、さまざまな理由によりイベントは中止に追い込まれる事態に。しかし、せっかくの楽しい機会を逃したくないMountain Cultureから「それでもコラボしない?」と声をかけてもらい、私たちも喜んで応じました。
その後、3月にホップの買い付けのためニュージーランドへ向かった際、オーストラリアに立ち寄り、ブルーマウンテンズにある彼らのブルワリーを訪れることにしました。そして、そこで一緒に仕込んだベルジャンIPAに、イベントが開催されなくても「自分たちはやるべきことを果たした」という思いを込めて “I Did My Duty” と名付けました。
そして、数か月後には、Mountain CultureのヘッドブルワーのJumboが来日。そして、私たちは彼らの得意とするヘイジーIPAを一緒に仕込み、同じくミッションを完遂したのでした。
Mountain Cultureのヘッドブルワー、ジャンボ(Jumbo)と、私たちのヘッドブルワー、ジェームズのヘイジーIPAに対するアプローチはほぼ同じと言ってもいいくらい共通するところがあるのですが、あえて違いを挙げるとすれば、彼らの造るヘイジーはやや甘めで、煮沸段階で乳糖を使ってボディ感と甘みを加えるのが特徴です。また、豪州の水の特徴でもあるのですが、クロライド:サルフェート比という仕込み水に含まれる「塩化物イオン」と「硫酸イオン」の割合を指す指標でいうところの、高い数値で仕込まれる点もあげられます。私たちの側で仕込む場合でも同じくらいの高さを狙い、“モルト感を重視した”水質設計をすることにしました。
モルトはおなじみのGolden Promiseをベースに、濁りやボディ感、そしてふんわりとした口当たりを作り出すために小麦とGolden Naked Oatsをブレンドして使いました。ほのかな苦味を加えるためにマッシュ時にニュージーランド産Cascadeを、煮沸後半ではRiwakaとCitraを加え、そして、Mountain Cutureスタイルで乳糖を投入し、甘みのレベルを上げました。
出来上がったビールは素晴らしい仕上がりです。
普段はキレのあるドライなビールを多く造っているため、この甘さが最終的にどんなバランスで出てくるのか少し不安もありましたが、結果的にはすべてが綺麗にまとまった印象。ホップのキャラクターと甘みが調和し、マンゴーネクターのような魅力的な風味になり、アプリコット、ピーチ、パパイヤのニュアンスがふんわりと広がります。
背景にわずかにダンクでリッチな樹脂感を感じさせるキャラクターがありますが、中心にどんと存在感を示すのは南国の果実、中でもストーンフルーツのようなフレーバーです。東海岸系のホッピーなIPAを造るのに人気のロンドンエール酵母で発酵させたことで、たっぷりのホップに負けない美しいにごりが残っていて、ヘイジー好きのためのビールと言って間違いありません!